おつかい
俺の重要なファンクションはおつかいである。
おつかいといっても「これ買ってきて」と言われて財布を持って出かける
情けないおつかいではない。

昔も今も、ビジネスの世界でも相手の欲しいものを言われなくとも理解し、タイミング良く
さっと提案することが優秀な営業マンの条件になっている。
これには、顧客の過去の購買履歴を常に意識し、且つ顧客との様々な接点を利用して、
(例えば、「ちょっと飲みにいく」とか)で、日々それとなくニーズを察知することが
やはり肝要である。

と、こういう話をし始めると何ページあっても足りないので本日は割愛する。
さて、我が家では、このような相手(つまりみかちゃん)のニーズを察知するため
やはり、酒が用いられることが多い。
飲み始めた当初は彼女もただうまいうまい、と飲んでいるのだが
しばらくすると、あれが欲しい、あれが食べたい、どこどこ行きたい、、、という
要求が増えてくる。

先日も、寝酒を飲んでいる中、重要なニーズが引き出せた。
どうも気になる商品は、「ミルキーまん」らしい。
すかさず「どこで買えるの?」と聞くと、ファミリーマートとのこと。
さっそく何気なく席を立ち、俺愛用のタイムシステム(TM)を広げ、
ここ数年来愛用しているポストイットにそっと書き込む。
データは常に書いて保存してこそ活用できる。

本来の仕事から言えば、当然ここでPDA、携帯、ボイスメモ等を通じて
記録が残されるところだが、やはり、しっくりくるのは手帳である。
それではなぜ、デジタルデバイスではなく、アナログな手帳が優れているのか、であるが、
紙面の都合もあり、ここでは割愛する。

翌日の帰宅途中、早速近くにあるコンビニ群の中から
ファミリーマートに足を向ける。
手帳にはすでに、毎月の購入がスケジュール化されている25ansの購買の必要もメモしてあった。
店に入るなり、まず、雑誌類をチェック。
25ansを発見。
すっと取って、かごに入れる。
立ち読みしていたOLが、けげんそうな顔で俺を見たが、
ここでは<頼まれちゃったんでしょうがないよね>ということが容易に想像できるような
すこし、訳ありげな表情で変態ではないことをアピール。
すぐにその場を立ち去った。

その後、デザートのコーナーへ行き、新作をチェック。
しかし、今日はミルキーまんを買うので、財布と相談した結果、断念。
そのままきびすを返してレジへ直行した。

レジはいかにも「18歳女子高生茶髪、携帯はJを愛用」という
ちょっとガラの悪そうな相手だった。
心の動揺を見透かされないように、極めて自然、しかしちょっと難しそうな顔をして
25ansをレジの前に置いた。
「ぼくのじゃないですよ」と言いそうになったが、聞かれていないのであえて説明は省略した。
案の定、その生意気そうな店員は、まず、25ansを見、その後俺の目を見た。
ここでひるんではいけない。
おだやかな表情で、そして俺の低音の魅力を十分に生かし、次の注文をした。

「ミルキーまんください。」

ここで彼女は予想外のリアクションを示した。
「はあ?」
声が小さかったのか・・。
再度俺は表情を崩さず、しかし、いくぶんうわずった声で

「ミルキーまん」

彼女はけげんそうな顔をして、
一応肉まんの入ったガラスケースを覗いた。
しかし、本気で探していないのが明らかであった。
「ちょっとうちには置いてないんですけど。」
ここで、「そんなハズはない、店長を呼べ」といいそうになったが、
物が物だけに、あまりそこで長く交渉するのは俺にとって得策ではなかった。
「じゃあ、今日はこれだけで結構です。」

今日も、明日もないのだが、多少動揺していたのか。
すでに俺の後ろには、先ほどのOLがやはり女性誌を手に持って、俺をじっと見つめていた。
「何、この男、こんなでかい図体をして、25ansにミルキーまん?あまりお知り合いにはなりたくないわね」
とは言われなかったので、敢えて反論しなかったが、居心地は決して良くはなかった。

俺は、最後は変なおじさんになって、
買った25ansをカバンにあたふたと隠して、外へ出た。
明日は、別の店で「ミルキーまん」を探しつつ、
前からメモしてある「月刊 NEKO(新創刊)」を
「俺のじゃないですよ」という顔をしながら買って、貢ぎ物にしよう。
こういう積み重ねが我が家での俺の地位向上に繋がるのだ。
そう思いながら、帰路についた。。


我が家で「ひろ不要論」が叫ばれて久しいが、「商社不要論」と同様
常に先を読む営業、果敢なチャレンジ精神で、現在のファンクションに付加価値をつけ、
厳しい現状を克服して行きたいと思っている。
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by nekomekuri | 2001-11-15 19:04 | ねこかわいがり
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